【化学】1から化学勉強法~化学結合~
化学結合は原子間の電子のやり取りで生じます。元素の種類や電子の受け渡しの仕方によって、いくつか種類があります。
まず何種類の化学結合があるか、
- イオン結合
- 共有結合
- 配位結合
- 金属結合
- 水素結合
イオン結合
まずは、イオン結合から説明します。
希ガスが化学的に安定(不活性)であることは、これまでの記事で紹介しましたし、学校の授業で何度も聞いて明らかだと思います。
原子は希ガス原子と同様な原子は位置をとると安定になります。
イオン化エネルギーの小さい原子は、電子を放出して希ガス型の電子配置をもった陽イオンになりやすいです。また、電子親和力の大きい原子は電子を受け取って希ガス型の電子配置をもった陰イオンになりやすいです。
そこで、イオン化エネルギーの小さい原子と電子親和力の大きい原子が接近するとどうなるでしょうか?
電子の授受が行われてイオン化し、生じた陽イオンと陰イオンの間に静電的な引力によって生じた結合が生じます。
つまり、これこそがイオン結合の正体です。
例えば、$\ce{NaCl}$を考えましょう。もう、イオン結合の例として中学生から習ってきたはずです。
$\ce{Na}$原子と$\ce{Cl}$原子が接近すると、イオン化エネルギーの小さい$\ce{Na}$は3s軌道の電子を放出し、$\ce{Ne}$型の電子配置をもった$\ce{Na^+}$となります。電子親和力の大きい$\ce{Cl}$は、電子を$\ce{3p}$軌道に取り入れて、$\ce{Ar}$型の電子配置をもった$\ce{Cl^-}$となる。
そして、$\ce{Na^+}$と$\ce{Cl^-}$は静電引力でイオン結合を形成します。
$\ce{Na(1s 2s^2 2p^6 3s^1)->Na+(1s 2s^2 2p^6 )}$
$\ce{Ne}$型の電子配置
$\ce{Cl(1s 2s^2 2p^6 3s^2 3p^5)->Cl-(1s 2s^2 2p^6 3s^2 3p^6)}$
$\ce{Ar}$型の電子配置
この反応は、金属ナトリウムの表面に塩素ガスを接触させた際に起こるものであって、水溶液中でのNa+とCl-の反応ではないことに注意してください。
共有結合
イオン結合は電子の教授によって形成されると説明しました。このような電子の教授ではなく、2原子間で電子を共有することで生じる結合が共有結合です。
例えば、水素分子$\ce{H2}$を考えましょう。2個の水素原子が接近したときに、原子核間および電子間には反発力が作用しており、原子核と電子の間には引力が作用しています。2個の原子が独立して存在するときよりもエネルギーの低い安定した状態が実現したときに$\ce{H2}$が形成されます。
この安定化は水素原子の電子雲($\ce{1s}$)が重なりあって新しい軌道、すなわち分子軌道が形成されることにあります。
$s$軌道どうしの重なりで生じた分子軌道は、a-bの結合軸に関して軸対称です。このような結合を、特に$\sigma$結合といいます。
$\sigma$結合に対し、$p$軌道動詞の重なりから生じる結合が$\pi$結合です。この分子軌道は、面対称です。
水素分子の電子配置は希ガスHe型の電子配置に似ていて安定です。He以外の希ガス原子の電子配置は、最外殻電子がいずれもs2p6という型で8個存在しています。このことから予想されるように、HやHe以外の原子では最外殻電子が8個になると最も安定になります。これをオクテット則(8隅説)といいます。このことを電子を点、または結合を結合手(価標)で表すことも可能です。
配位結合
分子あるいはイオンにおいて、一対の電子が結合に関係しないで残っている場合があります。この電子の対を孤立電子対あるいは非共有電子対といいます。この孤立電子対が他の原子やイオンの開いている軌道に入って共有鎖r手生じる結合が配位結合です。
例えばアンモニウムイオンを考えましょう。アンモニアは孤立電子対を持っています。それが水素イオンの開いた軌道に入り窒素原子と水素原子の両方によって共有されることによってアンモニウムイオンが形成されます。
遷移元素は錯塩や錯イオンなどの錯化合物(あるいは錯体という)を形成するが、その結合は主として配位結合によります。例えば、テトラアンミン銅(II)イオンは、アンモニアの孤立電子対が$\ce{Cu^2+}$の$\ce{dsp^2}$混成軌道に入って形成されたものです。
この例のように、中心原子(この場合は$\ce{Cu}$)に配位結合で結合している原子や原子団を配位子といい、その配位子の数を配位数といいます。
また、配位子の名前って特徴的なので気を付けてくださいね。
分子式 | 配位子としての名称 |
$\ce{H2O}$ | アクア |
$\ce{NH3}$ | アンミン |
$\ce{F^-}$ | フルオロ |
$\ce{Cl^-}$ | クロロ |
$\ce{CN^-}$ | シアノ |
$\ce{OH^-}$ | ヒドロキソ |
$\ce{NO^3-}$ | ニトラト |
$\ce{SO4^3-}$ | スフファト |
別の錯化合物の例として、テトラカルボニルニッケル、テトラシアノニッケル(II)イオンをあげます。
(追加:今後予定)
金属結合
金属原子はイオン化エネルギーが低く、陽イオンになりやすいです。金属原子同士が接近すると、価電子は互いに原子間を自由に動き回り、すべての金属原子核(陽イオン)によって共有されます。このような結合が金属結合と呼ばれて、自由に動き回っている電子を自由電子といいます。
金属の電子伝導性のいいことや、美しい金属光沢はこの自由電子の働きです。また、金属が延性や展性に富むのは、金属結合に方向性がないためです。
水素結合
14、15、16、17族の水素化合物の沸点が分子量によってどのように変化するかを示すと以下のようになります。
(それぞれの沸点のデータはwikipediaより引用)
水素原子が電気陰性度の高い酸素、フッ素、窒素などの原子と共有結合すると大きな極性を示す。そのため、例えば水H2Oでは1つの水分子の水素原子と別の水分子との酸素原子との間に二次的な結合を生じます。これが水素結合です。