NMRは難しくて使えない

昨今の化学においてNMRについての必要性は増すばかりです。
しかし、NMR自体が高価ということ、また、原理が難しく、新しいプローブ、パルスシークエンスが発表されても手が出せない。

しかし、最近の大学や研究所の方向性として、大型予算を取った時に、各研究室へ分配するのではなく、その予算で共通装置を購入するというのが一般化しています。
そのため、各大学に高価なNMRを1台は持っているというのが当たり前になっていますね。

そして、これまで業者に測定委託をして何万円、何十万円かかっていた測定も、ナノテクノロジープラットフォームなどを利用すれば測定の金額を抑えれるようになったり、研究資源的には日本はかなり充実していることは間違いありません。

さて、NMRの原理やスペクトルを読めるように解説を何個かの記事に分けて紹介していくつもりです。
今回はNMRの歴史や現状について少しはなしてみようと思います。

参考にするのは、北海道大学名誉教授の引地先生が書いた、NMRノートです。
現在では、防衛大学校の浅野先生がこのNMRノートを管理しています。
学生のために無料で公開しています。

NMRとは?

先ほどからでてくるNMRとは、核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance)スペクトルの頭文字をとってNMRです。
ざっくり言うと、構成原子や分子団を1つ1つ区別して調べることができ、原子同士のつながり方や角度などを求めることができる測定法です。

測定自体は現在では簡便にできるのですが、原理をしらないとマッチする測定ができないためにピークがでなかったり、最悪装置を傷つけてしまう可能性があります。
その修理には何十万もかかってしまうことも、、、

原理については今回はやりませんから安心してください。
最近、よく病院で使うMRIもNMRの原理を利用したものですよ。

意外に身近なNMR!!!

ノーベル賞とNMR

年代 受賞者 国籍 内容 受賞分野
1944 I.I.Rabi アメリカ 分子線NMR 物理学
1952 F.Bloch

E.M.Purcell

アメリカ バルク試料のNMR 物理学
1991 R.R.Ernst スイス FTNMR 化学
2002 K.Wuthrich スイス タンパク質構造 化学
2003 P.C.Lauterbur

P.Mansfield

アメリカ

イギリス

NMRイメージング 医学生理学
2013
M. Karplus

M. Levitt

A. Warshe

オーストリア

アメリカ、イギリス、イスラエル

アメリカ、イスラエル

 

計算化学 化学

実は、NMRだけに絞っても多くの科学者がノーベル賞を受賞しています。
核(つまり、電子)と磁気、スピンという物理の花形の分野でありながら、化学賞、医学生理学賞の分野にも横断することからこの測定法の魅力が注目すべきだと思います。

近年の研究(NMR)

論文数と年代の図表から傾向はみることはできます。図はweb of scienceでキーワード「NMR」で調べた検索結果を並べたものです(2019/4/11)。
これまで、ずっと増加傾向にあります。

もちろん、10年、20年前と現在ではハゲタカ論文の増加で単純な比較はできないかもしれませんが、最近では5年ごとに2万本も論文数が違うことから、そのような因子を除いたとしても増加傾向にあることは間違いないでしょう。

NMRはこんな装置です。
こちらから研究用の画像はダウンロードしました。

最後に

今回はNMRはどのようなものなのかを書きました。
今後、引地先生のNMRノートを高校数学でとけるように解説していきたいと思ってます。
NMRは量子化学で説明するので、それだけでは足りないことはたくさんあるでしょうが、がんばります。
そして、NMRの研究室出身でない私は、説明しきれるだろうか。。。

 

Posted by xxxchem